上目黒の家
竣工:1992年
建設地:東京都目黒区
用途:住宅
施工:水野建設
敷地面積:195㎡
建築面積:116㎡
延べ面積:202㎡
構造/規模:木造/地上3階増築
御両親の母屋の一部分(父上の書斎)を取り壊して、その部分に2階建ての長男家族の家を増築しました。取り壊した書斎と玄関は、1階のもとの位 置に同じ大きさで造り直し、少なくともファサードで見るかぎり、新築かと見える増築です。そのような事情なので敷地が小さく庇を出すスペースもないので、ピロティーより上の部分をすべて屋根と見立てて板金で蔽ってしまいました。菱ぶきは屋根から壁へと伝う雨水の水切れのよさと、ファサードの割付の面 白さを狙ったもので、特徴のある3種類の窓が菱葺きの中に配置されていますが、それらはそれぞれ内部から求められる機能を持っています。アメリカ東部で家族とともに数年間生活した建て主は、窓辺にクリスマスツリーを飾りたいと希望され、コーナーに開けられた大きな開口部はそのためのもので、私道を入ってくる人に対して内部の生活の雰囲気がこぼれ出るように考えました。少し愛嬌のある雰囲気の外観と対照的に、内部は単純な一体の小さな空間で、かろうじて、斜めに振られた小屋裏の手すりが色気を添えています。真壁で現しとなった柱と梁がむすっとした空間にリズムと肌触りを作ることを期待しています。
写真撮影:Koshimizu Susumu