断熱工法について

1.断熱工法について

外断熱を標榜する刺激的な題名で内断熱を否定する書籍が売れてベストセラーになり、中堅ハウスビルダーもとりあえず外断熱を標準仕様にする。一般 消費者は、もうすっかり外断熱(木造でも外断熱?)じゃなければ断熱じゃないと思いこんでいるような雰囲気である。

世はまさに外断熱の時代であるが、少し異を唱えてみたい。発泡プラスチック系断熱材による外張り工法は、工務店側からは、施工の容易さ確実さが評価され広まってきた。設計事務所側からは、クローズドシステムが先行していたことや、外壁が断熱材の厚み分持ち出されて吊られているディテールの薄気味悪さ、一番外側が透湿抵抗が高い構成になることになじめず敬遠されていたと思う。 次世代省エネルギー基準が告示された平成11年では?地域、断熱材E種、つまり押出ポリスチレンフォーム3種等でも外壁で50ミリ(その後開発された断熱材では35ミリで?地域の次世代省エネルギー基準をクリアーできるようになった。)が必要だった。木造住宅の耐用年数をどう捉えるかによるが、工事期間中の風雨を考えると外壁は既存の上に塗り替えや張り増しで改修していくことになるので、うまくいけば50年を越える家の寿命を通 じて、最低でも50ミリ浮いた状態で外壁が取り付けられていることになる。建築の本質的な性能である長期耐久性を改修工事の容易さという尺度で測れば、内部側から取り付ける方が理にかなっている。 充填断熱はグラスウールという常識がある。メーカーの仕様書等も発泡プラスチック系断熱材充填断熱は想定していない。しかし、発泡プラスチック系断熱材はもともと素材として透湿しないというメリットを持っているので、施工上の配慮があればグラスウールに遜色のない施工性と、それを越える性能が確保できるはずである。

外断熱を標榜する刺激的な題名で内断熱を否定する書籍が売れてベストセラーになり、中堅ハウスビルダーもとりあえず外断熱を標準仕様にする。一般 消費者は、もうすっかり外断熱(木造でも外断熱?)じゃなければ断熱じゃないと思いこんでいるような雰囲気である。 世はまさに外断熱の時代であるが、少し異を唱えてみたい。発泡プラスチック系断熱材による外張り工法は、工務店側からは、施工の容易さ確実さが評価され広まってきた。設計事務所側からは、クローズドシステムが先行していたことや、外壁が断熱材の厚み分持ち出されて吊られているディテールの薄気味悪さ、一番外側が透湿抵抗が高い構成になることになじめず敬遠されていたと思う。 次世代省エネルギー基準が告示された平成11年では?地域、断熱材E種、つまり押出ポリスチレンフォーム3種等でも外壁で50ミリ(その後開発された断熱材では35ミリで?地域の次世代省エネルギー基準をクリアーできるようになった。)が必要だった。木造住宅の耐用年数をどう捉えるかによるが、工事期間中の風雨を考えると外壁は既存の上に塗り替えや張り増しで改修していくことになるので、うまくいけば50年を越える家の寿命を通 じて、最低でも50ミリ浮いた状態で外壁が取り付けられていることになる。建築の本質的な性能である長期耐久性を改修工事の容易さという尺度で測れば、内部側から取り付ける方が理にかなっている。 充填断熱はグラスウールという常識がある。メーカーの仕様書等も発泡プラスチック系断熱材充填断熱は想定していない。しかし、発泡プラスチック系断熱材はもともと素材として透湿しないというメリットを持っているので、施工上の配慮があればグラスウールに遜色のない施工性と、それを越える性能が確保できるはずである。

2.施工上の留意点・構造体の工夫

言うまでもなく、発泡プラスチック系断熱材はグラスウールと比較して硬いと言うことが特徴である。そのため施工時には正確な切断が大切であるが、それ以前に成型の断熱材を納めやすい軸組である必要がある。いわゆる在来軸組構法で通 し柱、管柱の違いがあり、地回りの桁材も場所に応じて変わる構造に発泡プラスチック系断熱材を入れようとすると、その間柱間隔がまちまちで都度計りながらカットすることになる。私の事務所では基本的に4寸角柱を等間隔(1800もしくは2700)に建てた軸組に450ピッチの間柱を立てて構造用針葉樹合板を外張りする。これはもちろん断熱材の施工性を一義に考えて決められているものではないが、結果 的にこの構法だと間柱間の寸法がほとんど同じになり、筋違いも無いので成型な断熱材を事前にカットする事ができる。また、家の断面 形状も複雑な設計を避け、シンプルに断熱材が納まるような配慮があれば断熱欠損が少なくてすむだろう。

3.断熱材を定位置に取り付ける工夫

カットした断熱材を間柱間に取り付ける際に、不用意に押し込むとに外壁側にずれて入ってしまう可能性がある。または、取付後に電気工事等でいったんはずされて、再度取り付ける際に定位 置に入らないまま内装材が施工される危険がある。それを防止するために上下の桁材もしくは横胴縁に小さな桟木程度の当たりを取り付けると施工しやすい。このように取り付けられた発泡プラスチック系断熱材は特に固定の手間をかけなくともかなり強固に入り、簡単にはずれないほどである。

4.防湿対策

防湿対策は内側にフィルムを施工する場合は、グラスウールの場合と全く同じである。これはすでに確立した工法であり、硝子繊維協会のマニュアルや関連記事を参照されたい。前述したように発泡プラスチック系断熱材は素材として透湿しないというメリットを持っているので、内側大壁ならば外張り工法と同じように間柱との継ぎ目に気密テープを張ることで対応できる。私の事務所では両方ともの施工例があるが、施工後の計測ではいずれも隙間相当面積2.5㎠/㎡程度で次世代基準に適合した気密性能が確保できた。

5.真壁の納まり

言うまでもなく、発泡プラスチック系断熱材の特徴はグラスウール断熱材と比較して熱伝導率が低いと言うことである。この性能差は、次世代基準?地域の外壁充填断熱で、C タイプの高性能グラスウール等とE タイプの押出ポリスチレンフォーム等の厚みで95ミリと65ミリの差となる。外壁を真壁に納めようとするとこの差は大きい。前述のように4寸角の軸組ならば内側真壁で次世代基準の充填断熱が可能になり、内装仕上げによっては、約20ミリの柱のちりを確保した上で断熱材の外側に約18ミリの空気層も確保できる。この場合の気密性能は断熱材とせっこうボード等の内装との間の気密フィルムで確保する。柱に内装ボードを納める小穴をついてフィルムをその中まで延ばし、ボードを差し込み取付けることによって柱材と連続した気密層になる。

建築知識 2003年1月号