投稿者「hys」のアーカイブ

vol.001「生活の力」

休日の朝早くそっと玄関を出る。街はいつもならすっかり起きている頃だが、たまに犬を散歩させている人に会うくらいでまだひっそりとしている。公園をぬけて、よその家の庭先の花を楽しみながらゆっくり歩いて、開店前の床屋に着く。床屋のご主人もまだ起ききらないようで、奥でコーヒーをすすっている。そこはご主人と奥さんの二人で切り盛りする小さな床屋で、私の髪を切ってくれるのは奥さんである...[続きを読む]